C# Linq について 〜前提知識編
普段の業務で、C#を使用したWebアプリケーション開発を行っています。
Linqについて、「とりあえずこうしときゃ思い通りになるやろ」みたいな感じでしか使えてなかった気がするので、自らの忘備録と兼ねて今回しっかりとまとめてみようと思います。
今回はLinqを扱う上で前提として知っておきたいC#の仕組みについて記述しています。
僕のようなノリで使ってるけど理解があんまりだな……という方や、C#使い始めたばっかりでまだまだ全然理解できてないわ〜! という方の参考になればと思います!
Linqとは
公式(MSDN)より引用
統合言語クエリ (LINQ) は、C# 言語への直接的なクエリ機能の統合に基づくテクノロジのセットの名前です。 これまでは、データに対するクエリは、コンパイル時の型チェックや IntelliSense のサポートがない単純な文字列として表現されてきました。 さらに、SQL データベース、XML ドキュメント、さまざまな Web サービスなど、各種データ ソースの異なるクエリ言語を学習する必要があります。 LINQ では、クエリは、クラス、メソッド、イベントと同様に、ファースト クラスの言語コンストラクトです。
これだけ見ると、なんのことを言っているのかさっぱりわかりませんねw
Linqはコレクション(配列やList、Dictionaryなど)の要素を処理するためのメソッドを集めたライブラリです。
「foreachのパワーアップ版」と表現されることもしばしばあります。主にループ処理などを簡潔に記述することができるのが大きなメリットです。
たとえば、以下のようなコードの場合
List<string> morningNemu = new List<string>
{
"お米",
"クロワッサン",
"納豆",
"魚",
"おみそ汁",
"うどん",
"ラーメン",
};
List<string> myList = new List<string>();
foreach (string s in morningNemu)
{
int length = s.Length;
if (length >= 3)
{
myList.Add(s);
}
}
foreach (string eat in myList)
{
Console.WriteLine(eat);
}
出力
クロワッサン
おみそ汁
うどん
ラーメン
morningNemuの中から3文字以上のものを選択し、eatとして出力しています。
上記のようなコードは、Linqを使うことで非常にすっきりと読みやすくなります。
List<string> morningNemu = new List<string>
{
"お米",
"クロワッサン",
"納豆",
"魚",
"おみそ汁",
"うどん",
"ラーメン",
};
// 1行になる!
List<string> myList = morningNemu.Where(x => x.Length >= 3).ToList();
foreach (string eat in myList)
{
Console.WriteLine(eat);
}
出力
クロワッサン
おみそ汁
うどん
ラーメン
これだけ見ても爽快です。
ちなみに、Linqの書き方にはクエリ構文とメソッド構文があり、先程の書き方はメソッド構文になります。
これを同様にクエリ構文で書き直すと
List<string> morningNemu = new List<string>
{
"お米",
"クロワッサン",
"納豆",
"魚",
"おみそ汁",
"うどん",
"ラーメン",
};
List<string> myList = (from x in morningNemu
where x.Length >= 3
select x)
.ToList();
foreach (string eat in myList)
{
Console.WriteLine(eat);
}
このようになりました。SQLに似たような書き方や単語だったりしますが、LinqはSQLとは一切関係がありません。
Linq To SQLやLinq To Entitiesなどといった、Linqを用いてデータベースにアクセスする機能もありますが、これらはC#およびLinqで書かれたプログラムをSQLに変換して動作してくれるものになります。
今回は、これらの機能については触れません。
基本的にはクエリ構文、メソッド構文どちらで記述してもいいのですが、今回はおそらくメジャーな(?)メソッド構文を用いていこうと思います!
Linqの前に知っておきたい知識
まず、Linqについて知る前にC#の文法をいくつか知っておく必要があります。
- 型推論
- デリゲート
- 匿名メソッドとラムダ式
- 拡張メソッド
1記事書けそうな内容のものもあるため、以降はすこしざっくりと記述していきます。
型推論
変数宣言にvar
キーワードを用いて記述するもの。
右辺の式を評価して、自動的に変数の型を決めてくれます。
// List<int> 型として変数testが定義される
var test = new List<int> { 1, 4, 5 }
デリゲート
こちらに関しては、以前記事を書いています。
https://uenishi.cloud/2022-03-29-charp-delegate-base/
超ざっくりというと、「メソッドや関数を格納する型」を定義できる機能です。
以下のように型宣言を行い、そこにメソッドを代入する形で使用します。
class Program
{
delegate int TestDelegate(int a);
static void Main(string[] args)
{
// TestDelegate型の変数にメソッドを代入する
TestDelegate test = new TestDelegate(FuncA);
int test2 = test(555);
Console.WriteLine(test2);
}
static int FuncA(int a)
{
return a * 2;
}
}
出力
1110
デリゲートを使用するたびに型宣言を行うのは少々手間です。
そのため、標準で用意されているデリゲート型Func<T, TResult>
によって以下のように書くことができます。
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
// 引数int, 戻り値intの標準デリゲートにメソッドを代入
Func<int, int> testFunc = FuncA;
int result = testFunc(444);
Console.WriteLine(result);
}
static int FuncA(int a)
{
return a * 2;
}
}
Func<T, TResult>
のTResult
は戻り値の型を宣言しています。
戻り値がvoidのデリゲートを定義する場合は、FuncではなくAction<T>
と宣言します。
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
// 引数stringのデリゲート型を定義
Action<string> testAction = FuncB;
testAction("筋肉");
}
static void FuncB(string a)
{
Console.WriteLine($"{a}パワーーーー");
}
}
出力
筋肉パワーーーー
匿名メソッドとラムダ式
匿名メソッド
メソッドを定義する際、簡単な処理かつ使いまわすことがない処理であれば、都度定義するのは面倒です。
先ほどデリゲートで扱ったようなFuncA, FuncBなどのような処理があてはまります。
匿名メソッドを活用することで、先程のデリゲートの定義式は以下のように書くことができます。
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
Func<int, int> testFunc = delegate (int a) {
return a * 2;
};
int result = testFunc(444);
Console.WriteLine(result);
}
}
FuncAメソッドを記述する必要がなくなり、かなりコードがすっきりしました。
ラムダ式
ラムダ式は、匿名メソッドをさらに簡単に書けるようにしたものです。そのため、基本的に匿名メソッドでの記述はしません。
上の例をラムダ式で記述すると、以下のようになります。
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
Func<int, int> testFunc = (int a) => {
return a * 2;
};
int result = testFunc(444);
Console.WriteLine(result);
}
}
さらに省略すると、このようになります。
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
Func<int, int> testFunc = (int a) => a * 2;
int result = testFunc(444);
Console.WriteLine(result);
}
}
もういっちょ省略すると、ここまでになります。
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
Func<int, int> testFunc = a => a * 2;
int result = testFunc(444);
Console.WriteLine(result);
}
}
ラムダ式のテンプレートは
(引数 a) => { return 引数aを使った何らかの処理 }
で記述されます。
=>
の右辺には、returnで返すメソッド内の処理が記述されています。
さらに、{} と returnに関しては、処理が一行であれば省略が可能です。
そしてさらに最後の例で、引数の型指定がなくなりました。どうしてこうなるのかというと、前述した型推論によって、C#が空気を読んで右辺の式から型を決定してくれているためです。
個人的にですが、学習を始めた当初「=>」の意味が全くわからず、邪悪さまでも感じていました。Linqの理解にはラムダ式がどういった式を表しているのかの理解が非常に重要です。
拡張メソッド
拡張メソッドとは、すでに作られたクラスに対してメソッドを追加することができる機能です。
構文としては、以下のように定義します。
static [拡張メソッドの戻り値の型] [メソッド名](this 拡張対象のクラス,[引数], 引数2…) {
・・・処理・・・
}
例えば、IEnumerableインターフェースに対して、拡張メソッドを定義したい場合は以下のように記述します。listsに定義した文字列全てに、任意の文字列を追加する拡張メソッドです。
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
IEnumerable<string> lists = new string[]
{
"お肉",
"お野菜",
"お魚"
};
lists = lists.AddText("食べます");
foreach (var x in lists)
{
Console.WriteLine(x);
}
}
}
static class Extensions
{
public static IEnumerable<string> AddText(this IEnumerable<string> list, string text)
{
foreach(string x in list)
{
yield return x + text;
}
}
}
出力
お肉食べます
お野菜食べます
お魚食べます
Linqはそもそも、IEnumerable<T>型の拡張メソッドです。
おそらく最も使用頻度が高いであろうWhereメソッドから確認していきます。
public static IEnumerable<TSource> Where<TSource> (this IEnumerable<TSource> source, Func<TSource,bool> predicate);
とても長くてわかりづらいですが、左側から一つ一つ分解して見ていきます。
public static
①
IEnumerable<TSource>
② 戻り値の型。TSource(任意の型)のIEnumerable(コレクション)を返す。
Where<TSource>
③ メソッド名<任意の型>
(this IEnumerable<TSource> source,
④ 拡張対象のクラス。
Func<TSource,bool> predicate);
⑤ TSource(任意の型)を引数に取り、bool型を返すメソッドを引数predicateとして受け取る
となります。
Whereはコレクションを「任意の条件で抽出するメソッドです。
すなわち、コレクションひとつひとつの要素を、⑤で指定したメソッドの引数にして⑤のメソッドを実行し、戻り値がtrueとなるものを抽出する。という意味になります。
実際のWhereメソッド使用例から見てみましょう。
lists = lists.Where(x => x == "お肉食べます");
コレクションひとつひとつx
を引数に、x == "お肉食べます"
で一致するかどうか判定するメソッドの処理を記述しています。そして、その結果がtrueであれば判定対象であるコレクションを返します。
まとめ
Linqの特徴や使い方などについても記述していこうとしましたが、めちゃくちゃ長くなりそうなので一旦はここまでとします。
この記事の続きとして、実用的なメソッドや使い方などについてもまとめていきたいと思います!